さめざめと
2018/10/24
血液検査をしに、毎週のように病院に通っています。
ジーラスタ注射の甲斐あり、1クール目ほどは血液検査の数値に大きな変動はなく、今日無事に3クール目の投与です。1クール目に比べると順調とはいえ、1クール目は白血球の数が減りすぎて何度も入院できなかった実績を作ってしまった私は、今回からは前日に検査して、数値をクリアすれば次の日から入院、という形になりました。2クール目は風邪をひいたこともあり、これから寒くなるので本当に気をつけてくださいね、と薬剤師さんからご指導いただきました。
病気が分かってから早いものでもう4ヶ月。
落ち込まないわけはないのですが周りの優しさにつけこみながら笑、大いに甘えつつ、当初のパニック状態を思い返すと、ずいぶん落ち着いてきたように思います。
副作用も抜けて体調のよい期間などは、まだ病人だということを自分でも忘れてしまう時もあるほど。
でもやっぱり、ふとした時に感情の波がやってくるようで。
病院の採血検査というのは結果が出るまでに時間がかかるので、診察より1時間ほど早めに病院に行きます。いつも診察の時間よりかなり早めに行って、採血をしてから病院の外のベンチでコーヒーでも飲みながら結果が出るのを待つことにしています。
先日は、そのベンチに先客が。
秋晴れの爽やかな空の下、新生児を大事そうに抱えた若いご夫婦。パパがしっかり抱きしめて離さない!退院したばかりなのかしら、自撮りなんてしながら、すごーく大事そうに、赤子を宝物のように慈しんでいて、それはもうキラキラと輝いておりました。その光景を目にした私は、あら、素敵だわね、などと思ったのも束の間、気がついたらボロボロ泣いておりました。
この4ヶ月、目の前のことしか見えませんでしたし、考えられなかったので、病気が治った先のことを考える余裕はなかったのですが、もし治ったとしても、私はあの光景に入ることはできないんだわ、と、考えた結果急に悲しくなってしまったのだと思われます。
かと言って、子どもはすごく可愛いので、子どもをもつ人に羨ましさはあっても妬み&恨みなどは決してなく、ただ単純に、自分には訪れない未来があるんだなあ、と考えた時に、すごく大事な人ができたとしても、その人にあんな笑顔にはさせてあげられないのよねー。
と、ふと考えてしまったのです。
結婚式の弾けるような笑顔も素敵ですが、子どもを慈しむ親の柔らかな表情も、とても素敵だなあ、と最近よく思います。歳を重ねて、周りが親になることが増えてきたからか、余計にそう思うのかもしれない。
というわけで、一見病院で泣いているヤバイ人だったのですが、これは先のことを考える余裕がでてきた、ということで、私がこの先の未来も健やかな気持ちでいるために必要な段階なのかしらね…
なんてことを考えながら、いつものようにサクッと診察を終えて入院の手続きをしていたところ、事務の方から手酷い仕打ちを受けました。
私、基本的に今通っている病院の事務手続きもろもろに対していいイメージがほとんどないのですが、ついに、もうこれは無理かも、と思う一件が。。。
何度目かの入院手続きです。こちらとしても手馴れたもので3分くらいで毎回終わるものなのですが。
この間まで研修中のバッジが付いていた人に対応してもらったので、なんだかモタモタしていたけれど、最初は誰だって新人だしな、とにこやかに対応しておりました。
まずはジャブ。最初に入院した7月にはとっくに手続きを済ませてある、高額療養費申請の案内をされました。まあそこまではいいとしよう。
次に、「じゃあこちらの手続きもお済みかしらね」と渡されたのが、出産一時金の書類でした。
えー!私、子ども産みたくても産めないのになー。
さっきまでそのことで改めて絶望していたというのに、その日のうちに傷口に塩、塗りたくられました。
まさか病院の窓口でざっくり言葉のナイフで刺されるとは思ってもみなかった笑。
ちなみに、普段、私の事情を全く知らない人に、「あなた結婚はまだなの?若いんだから早くしなさいね」とか、「子供はいいよ、だから結婚(出産)はオススメだよ」というアドバイスをされて、不快な気持ちになるわけでも悲しい気持ちになるわけでもありません。私もそう思ってます。
でも、ここは病院で、私はさっき診察を終えたばかりで、3ヶ月前に子宮と卵巣を取る大きな手術をして、まだあと3回も抗がん剤治療が残っていて、この先一生自分の子どもは産めないし、再発しないように願って生きていくんだよー、、、という短いようで長いこの4ヶ月の膨大な情報が突風のように頭の中をぐるぐるとした結果、、、その場では何も言えませんでした。
口が達者だったらクレーマーになれたんだけどなー笑。
反論する気力も失くなり、そこから先は能面モードで対応。婦人科の入院だとそういう説明をしないといけないのかな、とか、色々と思うところはあったんですが、今までそんな説明されたことはないし、なぜ病人が病院で気を遣わにゃならんのか!
自分の仕事に置き換えて考えると、やっぱりマニュアル対応なんてクソ喰らえ!だということですかね。
人には人の事情があるのですから、すべてを慮ることができないとしても、相手の事情についてその都度冷静に考えることはいつだって必要なのだわ、と思い知らされた1日でした。
こういうことを書くと、私の周りにいる人たちは気を遣ってしまいそうで嫌なのですが、常時このようなことを考えているわけではなく、むしろ幸せはこれからもどうぞたくさんわたしにも分けてほしいし、私の周りのひとの幸せは、心の底からすごく嬉しい!あと子どもは可愛いし、一緒に遊ぶのも楽しい♡
これからも、おいしいものでも食べながら、日々、ゆっくり、しっかりと!治していきたいです。もう結構頑張ってる気がするけど笑、のんびり、無理せず、今だけは自分のことだけ考えて頑張ろうね、と自分をいたわっています◡̈
友人に誘われお邪魔したレストラン。
https://secreto-tokyo.com
きのこのポタージュ。滋味深い味わい!
華やかカラフルなお料理より、こういう素朴なお料理が好きです♡
抗がん剤2クール目副作用まとめ
2018/10/22
2クール目の投与から4週間。
1クール目、ほぼ副作用がなかったので、2回目も軽めだろうなと思ってましたが、期待してたほど軽く済まなかったです。
本当に体質によるんだなあ、と思いますが、わたしの場合は吐き気がほとんどありません。抗がん剤の副作用=ずっと吐いてるイメージがありましたが、ほぼ吐き気ゼロだったので、基本的に毎日おいしくごはんを食べています◡̈
むしろ、当日や翌日は、空腹時に胃がムカムカするので食べすぎになるくらい。これは困った。
味覚障害も、今の所はないですね。
手足の指先のしびれはありました。
でも痛みがないからまだ大丈夫かな。
関節痛が3日目から始まったことと、
ジーラスタ注射の副作用で注射後4日ほど経過してから腰の骨の痛みがありましたが。
どちらの痛みも常時ではないので、まだ耐えられるかなあ。でも、ロキソニン飲みましたがあまり効かず、両方微熱が続いて体がとにかくしんどかった!
10日ほどすると副作用はおさまるようなので、あと4回もこの程度で済むことを祈りながら◡̈
明日から3クール目、です!
黒柳徹子さん
2018/10/16
黒柳徹子さんのお芝居を観る機会がありました。
初めての生・徹子!
ライフワークとして続けてきた海外コメディシリーズのファイナル公演、ということでした。
2時間近くあるお芝居なので、観始めるまでは正直なところ、徹子さん大丈夫なのかしら、と思っていたのです。
たまにテレビでチラッと見かける限りでは、寄る年波には勝てないと言いますか、もう85歳だそうですし、いくら元気といっても限度があるかな、と思っていたのです。
上演中、年齢を感じる場面は確かに度々ありました。
でも、何かを一生懸命に追い続けたプロの姿勢というものを、まざまざと見せつけられたように思います。
そして、最後の最後まで鳴り止まぬ拍手に応じて、終わることのないカーテンコール。誰からも愛されるステキなチャーミングさと、すべてのものに対する大きな愛を感じました。
片足を切断してまで舞台に立ったというサラ・ベルナールと、そんな彼女を演じる、85歳で主演舞台に立つ徹子さんの姿がいつの間にか重なっていたように思います。
お芝居の最中、片足を切断した晩年のサラ・ベルナールの演出上、徹子さんも車椅子などに座っていることが殆どだったのですが、最後の最後に、すくっと立ち上がって朗々と台詞を話すシーンがあり、思わず、ぐっときてしまいました。
いいもの見た。
増えよ!白血球!
2018/10/04
ここ数週間私のからだの内側で、白血球を増やせ!作れ!血小板を増やせ!しっかり働け!サボるな!とムチを打たれてきた骨髄。
抗がん剤は、分裂&増殖が活発な細胞を攻撃するので、髪の毛が抜けたり、爪がもろくなったりすると言われております。そして、血液の成分をつくる骨髄も同様に、攻撃されてしまうわけです。
私は抗がん剤の副作用がおそらく軽いほうなのですが、
唯一ダメージが大きかったのが、この骨髄でした。
白血球の中でも、好中球というからだを外敵から守ってくれるヒーローが減ると、体に入ってくる外敵に抵抗できないためヤバイと言われております。
もともと白血球が有り余っているタイプではないらしく、抗がん剤投与から2週間ほどで白血球が減り始めるそうなのですが、私も例に漏れず白血球があれよあれよと言う間に減ってしまい、一時期、好中球の数が240まで減ってしまいました。
※ちなみに好中球が500より下回ると、こちらのランク付けをされます。Grade4: 生命を脅かす、または集中治療や緊急処置を要する事象。
(°_°)わーお、そんなに低くなったのー。と、本人は呑気に構えていたんですが。
厄介なのが、このように、白血球が減って細菌に対してノーガード状態であっても、本人に自覚がないこと。また、明確に白血球を増やせる方法はなく、新しく造られ、増えるのを待つしかないということです。
お医者さんから言われるのは、ナマモノはダメだよ、手洗いうがいをしてね、マスクをして、人混みには行かないこと。という至ってシンプルなもの。にんにく食べるとか、レバー食べるとか、なんかひとつくらい打開策はないのかしら、と思ったものですが、基本が大事ということにして、手洗いうがいを徹底しました。
そこまで数値が低くなると、G-CSF製剤というドーピングの注射(グラン注射とも呼ばれます)を打ちます。最低値を更新してから、3日間病院に注射を打ちに通うわけですが、連日病院に通うほうが、よっぽどいろんな菌にさらされるのでは…?と若干モヤモヤしつつも、ドーピングの甲斐あり、3日後には数値がグンと上がっておりました。ですが、残念なことに、モタモタしているうちにドーピング効果が切れて再び数値が下がってしまい、最終的には自然に上がるのを待つ、という原始的な結果に終わりました。
この一連の流れから、私の白血球は少ない上に減りやすく、増えるの(回復)が遅いと判断され、2回目からは別のドーピング注射を打つことになりました。
ジーラスタ様の登場です。
こちらのジーラスタ様、手のひらサイズの注射のくせに、なかなかいいお値段。東京ー大阪間を余裕で往復できます。しかも、抗がん剤投与から24時間以降、72時間以内に打たないと効果が出ないんですって!
そんなこと言われたら、なんとしてでも行かねば、と思うじゃないですか。わたくし、苦手な早起きをして、ちゃんと行きました。
台風一過の青空のもと、乱れまくったダイヤの大混乱の中、入場規制のかかるギュウギュウの満員電車に揺られ、朝イチの予約に間に合うように………!(心配した姉が、一緒に病院までついてきてくれたんですが、姉は満員電車に乗りこむことができず、私を一人残して離脱しました笑。)
ボロボロになりながらもしっかり予約時間前に病院に着き、さあ!いよいよ注射を打とう!という段階になって、信じられないことに、ジーラスタの在庫がないと言われ、一度家に帰されました(°_°)笑。
72時間にはちゃんと間に合ったのでよしとしますが、必死の思いで打ちに行ったお高いジーラスタ様の効果がどれほどのものなのか、楽しみですね。
ちなみに、1クール目で3日連続打ったグラン注射では、骨髄にムチを打って頑張らせるので、その副作用でコツコツコツコツコツコツ…と骨の奥をノックされ続けるような腰痛を味わいました。今回もそれが来るのかしらと怯えております。
今の時点では、注射した日とその次の日は、発熱と、膝と足首の関節痛に襲われダウン。1クール目は関節が痛くならなかったので、おそらくジーラスタの副作用なのかな、と推測。3日目の昨日は痛みもなく発熱もなく、腰痛もなし。
今後の採血次第とはいえ、3クール目からは、さくさくスケジュールを組んでこなしていきたいものです。
(ジーラスタ様の効果)
抗がん剤2クール目
2018/09/28
長かった1クール目を終え、とうとう2クール目に突入。
前回の1クール目
抗がん剤1クール目副作用の記録 - 卵巣がんになりました
を終えて分かったのは、
私の大きな副作用は白血球が減ることくらいだということ…
吐き気に関してはほぼゼロ。
手足の指先のしびれ、筋肉痛が少々。
味覚も変わらず。
便秘にはなったけど下痢は大丈夫だったなー。
そのほか、だるさ、眠気、傷跡の痛みなどはあったけど
それが副作用かと言われると自信ないです。
そんなわけで前半戦はかなりなめてかかってましたが、
血液検査をし始めてからはひたすら白血球が増えるのを待つ羽目になりました。
もともと白血球の数値が正常な範囲内ではあるものの低いらしく、初期の数値に戻らないと2クール目には進めないと言われて、2週間くらいかけてようやくクリア。
前回と点滴の流れは大体同じ。
抗がん剤1クール目 - 卵巣がんになりました
アルコールが入っているからなのか?
ほぼ寝てました。
前回来られなかったからと言って、今日薬剤師さんが抗がん剤の副作用についてパンフレットを持って説明しに来てくれました。そういえば前回同じ部屋の人が説明されてたっけな。
全部聞いたことあるし、実際一回経験してるし、あんまりちゃんと聞く気にならず…ていうかこれは是非初回でお聞きしたかった、、、!
1クール目の血液検査を数値の変動を見る限り、14日目で白血球が、24日目で血小板が下がるピークを迎えるのではないかという予測が聞けたのは今後に活かせるのでありがたかったな。
『その時期は手洗いマスク!
ナマモノは食べない!』
そんな指導をいただきました。
それを聞いた私はそんなに疑わしい顔をしてたのかしら。
『お寿司食べて感染症になる方も実際にいますので、気をつけてくださいね(^^)』
と、重ねて指導をいただきました笑。
(ナマモノに関しては白血球が低い時期にお医者さんに言われたけど知人の医療関係者からナマモノに関しては気にしなくていいよ、と言われたので食事は普通に食べてました)
うーん。そこまで言われると食べづらいなー。
その時期は食べるのを控える方向で考えよう。
そして1クール目の間お会いしてくださったみなさま⭐︎
意外と元気だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
こんな感じでのんびり治療していきますので、
今後ともよろしくお願いします◡̈
いのちだいじに!
あ。今回の入退院の間、今までの二回の入院中私につきっきりだった母が一度も来なかったことで看護師さんに驚かれました。からかわれて恥ずかしかったけど、感謝はしております。
救われた本の話
2018/09/03
6月に卵巣がんだということがわかってから、
久々に本を読む機会が増えました。
病気に関するものも、そうでないものもありましたが、今日はその中でも、私が辛いときに読んで救われた本を紹介しようかと思います。
入院・手術を終えて抗がん剤治療が始まるまでのひと月ほどの間、自分の置かれた状況がひどく宙ぶらりんに思えて、心もとなく感じていた時期がありました。
手術が終わって、体調はだんだん、少しずつとはいえ回復しているのに、病気が治ったと言いきれない状況。
わけのわからないまま手術を終えて、術後自由に動かすことができなかった体から、ようやく動けるようになってきたのに。
特に、手術をした7月は入院していたこともあり、社会と断絶されているような気持ちが、常にどこかにあったように思います。
そんな中で、大学の先生が本を送ってくださいました。
それがこちらの本です。
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/11/28
- メディア: 単行本
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『すべては導かれている』
タイトルだけ見て、「スピリチュアル系かあ」と訝しんでいたのですが笑、読み始めると不思議なもので、驚くくらいにストンと腑に落ちる内容でした。
病気になってから、自分が病気になった理由を探していました。あの時ああすれば病気にならなかったのでは、とか、自分があんな行動を取った報いだ、とか、これまでの生き方を省みて、いいことばかりしてきたわけではない自分の行動の結果として卵巣がんになったのである、と懲罰的に自分のことを責めていた部分もあったと思います。
それを真っ向からバッサリ!と斬ってくれたのがこの本でした。読むまでは、気持ちがいつもどこか落ち着かなく、ざわざわとしていたのですが、読み終わると、のどにつかえたものがお腹の中に落ち着いたような、とても静かで穏やかな心持ちになっていました。
私は割とひねくれているので、導かれる、とか、スピリチュアル、とか、全面的に信じるのはどうなんだろう、と思うタイプですが、数多くある中での1つの考え方として、今回はこちらの本を採用しました笑。
どこの箇所も、切り取ってしまうとなんだかよくある自己啓発の言葉になってしまうので内容は割愛しますが、読んでからとにかくすごく楽になったのです。
それ以降はお会いした方にはお分かりいただけるかと思いますが笑、毎日思った以上に元気に過ごすことができています。
気持ちって大事なんだなあとつくづく思います。
単純に、自分が卵巣がんになった、という事実を受け入れることができたというだけのことなのかもしれませんが、たくましく、しなやかに、しっかりと!決していいことばかりではありませんが、悪いことばかりでもないので、今日も健やかに過ごしていこうと思います◡̈